ハワイへの旅 2日目①
- tripampersand
- 2016年4月12日
- 読了時間: 5分
そして二日目。 その日、飛行機でカウアイ島へ移動することにしていた私たちは、前日に空港行きのリムジンバスを電話予約していた。 ところが、朝7時に迎えに来る約束だったのに、時間を過ぎても一向にやってくる気配がない。 そろそろ15分になろうかという頃、一台の黒いバンが私たちの前に停まった。 「昨日予約していた者ですけど……。これがそうですか?」 そう尋ねると、降りてきた運転手は 「Yes, Yes!OK!OK!さあ、乗った乗った!」 と勢いよく鞄を積み出した。 妹は何となく心配そうではあったけれど、ちゃんと確認もしたことだし、大丈夫大丈夫!と半ば自分に言い聞かせながら乗り込む。 しかし、いざ車が走り出すと、どうもおかしい。 明らかに他のお客さんを乗せる気配もなく、運転席横には料金表示のメーターが!!! 「タクシーやん!」 如何なる時も、突っ込み忘れないのが大阪人の信条。 まだ信号一つ分しか走っていないのに、料金は既に5ドルを越え、そうしている間にもどんどんメーターは上がっている。「どうすんのよ!だからおかしいっていったのに!」とヒステリックに妹から責められ、パニックになった私は運転手に怒鳴りかかった。 「ちょ、ちょっと、さっき私が予約の確認したら、YESって言いましたよね!だから乗ったのに!どうしてくれるんですか!」 運転手は移民らしく、英語がわからない――のか、わからないフリをしているのか。しかし、ここで負けるわけにはいかない。自分でも意味不明に騒いでいると、その剣幕に観念したのか、 「All Right!さっきの場所まで戻るよ」 相手が折れた。見たかっ!大阪人の底力! とは言うものの、道はやたらと一方通行が多く、スムーズには引き返せない。やっとの思いで元いた場所までたどり着く。この間5分。 もちろん料金を払う気などなく、向こうもこれ以上、関わり合いたくない、とばかり、無言のまま私達を降ろすと、逃げるように走り去った。やはりアメリカ。権利は主張したもの勝ち・・・・・? それはさて置き、宿の前には先ほどまではいなかった女の子が一人立っていた。 「ねえ、リムジンバス、見なかった!?」 挨拶もそこそこに、鬼気迫る形相で尋ねる。そんな私達に、ちょっと引きながらも、 「あ、それなら、誰もいないからって、さっき出ちゃったわよ」 と教えてくれる。 「え、うそ、そんな・・・」 そのバスに乗らなければ、飛行機に間に合わない。 私は重いかばんを背負ったまま(これまたハワイに似つかわしくないバックパック)、電話ボックスまでダッシュ。リムジンバス会社に電話をかける。 「もしもし!あの、バスに乗り遅れたんですけどっ!」 自分が何語を話していたのか、焦りすぎて記憶が定かでない。とにかく早口にまくし立てていると、 「わかった、わかった。バスには戻ってもらうから・・・」 との回答。本当に戻ってくるのか三回は聞き直す。電話口の男性は明らかに苦笑混じり。それでも、YESの言葉をもらって一安心。 この十分少々で、一日のエネルギーを使い果たしたかのように全身汗だく、ふらふらでバスに乗り込んだのだが、まだまだこれは長い長い一日の始まりにしか過ぎなかった。
何とか無事にホノルル空港に到着した私たちは、他10人ほどの乗客とともに小型ジェットに乗せられて、カウアイ島へ向かった。
ハワイに来て、なぜこんな思いをしなければならないのか、というくらい、冷房ガンガンの機内。ガタガタと震えながらひたすら一時間のフライトを耐えた。
カウアイ島初日の目的はリバーカヤックだ。卵三つは使用のハイ・コレステロール特大オムレツで腹ごしらえを済ませた後(もちろん、残さず食べた)、いよいよカヤックツアーへ参加。
ツアーガイドは二十歳を越えたかどうか、という元気なハワイアンガールで、他の参加者はみな、英語圏出身のカップル。早口で、しかもカジュアルフレンドリーな出発前のガイドの説明(カヤックの乗り方や漕ぎ方、もしもの場合についてなど)に、ついていけていないのは私達のみ。
「みんな、わかった?」
と聞かれても、わかりません、という勇気はなし。
で、よくわからないままに出発となる。

川といっても、太くて長いワイルア川なので、流れは比較的穏やかだった。しかし、周囲はみなカップル。つまり漕ぎ手の一人は男性。しかも大柄な欧米人。見る間に取り残されていく私達。
雄大な景色に包まれて、のんびりカヤック、との幻想は見事に崩れ、必死でみんなを追いかける。どうにか追いついてカヤックを降りると、今度はハイキングが待っていた。
足場は悪く、歩き辛い。しかし、ガイドの彼女はなんと裸足!周囲のカップルはもちろん、レディーファーストの紳士が淑女の荷物を持ち、時には手を引き、肩を貸し・・・ちょっと(いやかなり)羨ましい。ツアー中のカップル二組はともに旅しているようだったが、どちらも超ナイスバディ(百キロを超えているんじゃ・・・・・・)の彼女に、細身の彼という組み合わせ。サポートする男性も大変だな、と少し気の毒になったりもする。本人幸せそうだから余計なお世話か。
鬱蒼と茂る原始の森を歩き、マイナスイオンを体いっぱい吸収。気分もリフレッシュ。
さあ、帰るぞ!と気合を入れたはいいが、スタートから出遅れる。水中に漂う不安定なカヤックには、乗り込むのに一苦労だったのだ。
忽ち他のメンバーの姿は見えなくなり、必死にオールを握る私達。気を抜くとすぐに進路が変わるので、その度に修正しなければならない。
「ちょっと、ちゃんと漕いでよ!」
「そっちこそ、休まんといて!」
照りつける太陽。進まぬ船体。疲労はピーク。
たまに口を開いても、相手への愚痴しか出てこない。
どうにか集合ポイントまでたどり着くと、待ちくたびれた様子のメンバーが一斉にオールを漕ぎ出した。私達は全く休んでいない!でも、そんなこと言えるわけもなく・・・・・・
最後の力を振り絞り、やはりラストでフィニッシュしたのであった。
そして、一日はまだまだ続く。
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