ハワイへの旅 4日目②
- tripampersand
- 2016年4月12日
- 読了時間: 4分
濡れた髪も窓からの風で次第に乾く。
行きに大体の場所をチェックしていたので、夕闇迫るドライブを楽しむ余裕もあった。
起伏の激しい海岸沿いを飛ばし、街にたどり着くと、道路沿いに目的地を見つけた。建物の前に車を止め、チェックインすべく、中へと足を踏み入れる。
まず出会ったのが、塀の内側に無造作に並べられたプラスティックの椅子、机達の一角に陣取った二人組み。
「Hello!」
声をかけたものの、ほとんど反応なし。や、やばい。目がいっちゃってる……。
アルコールのせいか、ハタマタそれ以外のせいか……。
夕食を食べていなかった私たちは、ひとまず退散することにした。
「ちょっと、ここ」
「うん、やばいよね。なるべく外で過ごそう」
彼らに漂う気だるげな空気は、恐らく長期滞在型。あまりお友達にはなれそうにない。(と、長年?培った勘が告げる。)
近くにあったバーガーショップは地元ならでは、という感じで手作り感いっぱい、ボリュームたっぷりのバーガーで美味しかった。
注文の際、ドリンク欄にあった名前の一つに馴染みがなかったので、聞いてみると、
「試してみる?」
と店員はコップにたっぷり注がれたそれ(名前は忘れた…)を差し出した。
ごくごく飲み干してから、結局それを注文。(もちろん、新たにゲット!)
お試しできるのか。知らなかった。今度他でも試してみたい!(日本じゃ無理か)
しかし、田舎ならでは、でそろそろ店じまいの雰囲気。
気は進まないが、疲れた体も休めなければならないし、というわけで宿に戻る。
二回目のHello!だが、やっぱり、反応は薄い。
とにかく勇気を出して、まともそうな方(メガネがやけに似合うひょろりとした彼。顔は赤いが片手にはペーパーバック。私は危険なしと判断。妹は違ったが。)
「あの、今日、ここに泊まることになってるんですけど」
「あ、ああ、そうか。泊まるのか。うんうん。わかった。付いてきて」
言われるがままに付いていくと、
「一階と二階があるんだけど、どっちがいい?あ、ここの部屋は使用中だから、ここか、こっち」
「あの、ベッドを予約してると思うんですけど…。宿の方ですよね」
「あ、なんだ、予約してるのか。僕もここに泊まってるんだよ。僕の部屋はあそこ。じゃ、二階で。こっちかこっちのベット空いてるはずだから」
勝手にしちゃってよいのかなぁ。
「あの、宿の人は?」
「ああ、たぶん、今日は帰って来ないんじゃないかな。よくわからないや」
宿主が適当だから、やっぱり適当な人が集まっちゃうんだろうか…。
結局、メガネ君は良い人で、色々教えてくれた。バス・トイレの場所とか。
そのうち、宿のスタッフも帰ってきた。物凄く若く見えるが、既に自由気ままな暮らしぶりがにじみ出ている彼女。メガネ君よりやる気がなさそうに説明をしてくれた。といっても、見ればわかるよ、と言いたくなる宿の造り。
キッチンは二階のバルコニー。そこからつながって、外に張り出した一角がリビング。辛うじて屋根はあるが、もちろん、周囲を覆うものなんてない!私的感覚では、キャンプ場の炊事場が二階にあって、椅子やテーブル、おまけにテレビなんかもあります、という状態。
今晩眠るベットは二人で一つ(それだと一人分の料金で良いといわれたので)。それでも十分な広さのある、今までに見たことない大きさの二段ベッド。
ベッドにはカーテン(布を洗濯バサミで停めただけだが)も着いていて、着替えもバッチリ!(というか、もちろん男女兼用なので、それがないと着替えられない…)
キッチンとは反対にある、部屋から続くバルコニーに出ると、目の前に広がるビーチ。その先に続く海原に浮かぶ月。海風に吹かれていると、
「ここの眺めは最高だろ」
と話しかけられた。
四十は過ぎた小太りの男性。どうやら一人旅。言っちゃ悪いが、冴えない中年男性、しかもしばらく滞在している模様。これは絶対何かある。仕事を首になり、奥さんは家を出て行った。現在、当てもなく放浪中。手持ちの貯金を切り崩し、安宿でビールを煽る日々。勝手に妄想拡大中…。
他にも、俺はパン屋だぜ!という五十代近いマッチョな男性が同室(パン好きの私の高感度アップ)。他の宿に比べて、なぜだか年齢層が高い宿。
とにかく、バルコニーからの眺めは最高だが、大きな大きな問題があった。
部屋の両方(キッチン側、海側)が一面の窓になっている。
キッチン側は窓というより…、窓枠。窓風なだけで、ガラスがない。大きく四角く切り取られた横に、出入りのスペースがある。
海側にはガラスが嵌っていたが、バルコニーへ出入りするための窓が開いたままだと風が通る、なんてもんじゃない。
なぜだか異常に風の強い晩だったので、その音がうるさく眠れない。ベットの周囲を囲むカーテンも強風に煽られてはためく。いくら常夏の国とはいえ、こんな吹きっ晒しでは寒すぎる。
絶えかねて窓を閉めにいく(風が強いので重労働)も、またしばらくすると誰かが開ける。それを今度は妹が閉めに行く。
するとまた誰かが外へ出るために開けて…といったとを繰り返す。なんで閉めないんだ!と心の中で叫ぶも思いは届かず。
バルコニーにトイレがあるのが悪い。なんて造りなんだ。と今更ながら愚痴る。
Comments