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ドイツへの旅 3日目③ ニュルンベルク→ペグニッツ

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年5月11日
  • 読了時間: 4分

ニュルンベルクの町はペグニッツ川によって北の旧市街地と南に分けられている。その川に掛かる橋の景色が素晴らしいと本にあったので、ぜひ見てみたいと思っていた。

 ちょうど川の近くまで来た所、背後から突然、声を掛けられた。ドイツ語にきょとんとしていると、そのおじさんは英語に切り替えて話し始めた。あまり上手くなくて、とおじさんは笑ったが、私達もそうなんですと笑い返す。

 船乗りだったという彼は富士山に3回も行ったんだと自慢気に話してくれた。3回登ったのか、3回麓まで行ったのか。追求は止めて、拙いながら日本語を披露してくれたおじさんとの出会いにほのぼのする。

 川に掛かる橋は確かに絵になる風景だった。雨でなく、その一本が工事中でなかったら、と欲張る気持ちは脇へ押しやり、駅へ向かう。

 人が溢れる街の中心部はどこかで見たような光景。見慣れたカジュアルブランドの看板に、コーヒーショップ。今の私達が求めるものはなく、駅までの道がひたすら長く感じられる。

そうしてやっと駅にたどり着いたものの、これからまた電車に乗り、今朝通り過ぎてきた町、ペグニッツまで戻らなければならない。

 なんだって、ロスの多いこんな計画を立ててしまったんだ。。。

 ペグニッツまでの電車はとても混み合っていた。座席を確保できなかった大学生らしき数人が通路に座り込んでいる。

 ガタイの良い彼らは文字通り通路を塞ぐ格好。中にはビール片手の者もいる。それでも車掌さえ気にした風がないのは、人が来ればさっと避けるだけの分別は持ち合わせているから。

 「今時の若者」な彼らながら、その井で立ちは泥はねしたボトムに大きなリュック、しっかりと足を覆うシューズ。地図を広げているところからすると、トレッキングの帰りだろうか。アウトドアが盛んな国だから、若者の遊びも自然とそうなるのかも。

 降り立った駅からはすぐに坂道が伸びていた。町は斜面に沿って広がっている。といっても、本当に小さな集落。駅周辺にはガソリンスタンドくらいしかない。

 本日の宿は念願の古城ホテル。お城といえば、高台にあるもの。スーツケースを引きながら、googleマップでプリントアウトした地図を頼りに上っていく。

「ねえ、お城、見えないよね。こっちで合ってるの?」

 肌寒い気候なのに、すっかり汗だくになってしまった。住宅の間を歩いていると、一軒の民家のドアが開き、人が出てきた。明らかに怪訝な顔でこっちを見ている。落ち着いた住宅街への無粋な侵入者。

 これを逃すともう誰にも出会えないかもしれない。思い切って尋ねると、やっぱりね、という笑顔で道を教えてくれた。聞いてよかった。危うく進むべき道の前を通り過ぎるところだった。

 6時までに来てね、と宿の人から言われていたので、そこから猛ダッシュ、したいところだったけれど、示された道は舗装がされていない。柔らかい土の上では車輪は役に立たないから、スーツケースを抱えてヨタヨタ行くしかない。

古城への裏口

 城の裏手に出たときには五分前だった。目の前には立派な城壁が聳えている。記念に写真撮影、と思っていると、

「もう、時間がないって。先行くで!」

焦る妹に置いていかれてしまう。

 私達は大幅に遠回りして来た上に、裏口に着いたようだ。城壁に囲まれた一番奥に建っていたのは、城と呼ぶにはこじんまりとした建物。その前に広がる庭もアットホームな雰囲気。

「あの、予約していたんですけど」

 出迎えてくれたのは、民族衣装に身を包んだオーナーの娘さん。チャーミングな笑顔が私達の心を掴む。

 FAXまで送ったのに連絡がない、メールくらいくれたっていいじゃない、予約出来てるかもわかんない!と文句を言っていた妹もすっかり上機嫌。

 天気が悪かったこともあって、城内のレストランで食事をすることにした。最もこの町に別の選択肢があるのかどうかも疑わしい。

 食事を取りにレストランに入ると、娘さんが今度はウェイトレスとして立ち働いていた。宿泊客だけでなく、地元の人もやって来ている。レストランといっても6、7組くらいしか入れないのですぐに一杯になった。

 昨日の教訓を生かしビールはパス。

 ポテトクリームスープ、サラダ付きのビーフシチューを一人前注文。それでも二人には十分だった。クリームスープはハーブが利いて美味しいのに、残念ながら塩辛い。ビーフシチューは未体験の味だった。酢漬けの肉とメニューにあった通り、酸味のある肉。それからアイスクリームのように丸く盛られたマッシュポテト、と思いきや、やけにもっちりしていて、お腹に応える、これは一体……。

夕食のビーフシチュー

 ガイドブックによると、ドイツの伝統料理、クネーデル。こちらも酸っぱい味付けが。うーん。濃厚なシチューにはあっさりマッシュポテトを所望する!

 またもやお腹一杯で、天蓋付きベッドに寝転べば、お姫様気分でおやすみなさい。

 部屋のそこここに干された下着も、目を閉じてしまえば問題ないし。

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