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ドイツへの旅 3日目① ヘプ(チェコ)

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年5月11日
  • 読了時間: 3分

 素敵なホテルで爽やかな目覚め、となったのは私一人。

 妹はなんと、二日酔い。

 昨日飲んだグラス半分にも満たないビールのせいだという。ワインじゃないんだから。でも本人がそう言うのだからそうなのだろう。仕方なく、私は一人で朝食に向かう。

 場所は昨日のレストラン。やはり誰もいない。

 けれどテーブルに部屋の番号札があった。私達の番号と、隣のテーブルにもう一つ、一人席がある。ということは昨日の宿泊者は合計3名。

 ガイドブックの情報では客室数は21となっていた。経営は大丈夫だろうか。

 一人とあって、昨日以上に落ち着かない。支度を始めたスタッフの数の方が多い。客が少なく気を許しているのか、GパンにTシャツというラフな格好の女性が掃除道具を持ってレストランのトイレへ消えていく。

 清潔にしてくれるのは結構だけど、消毒薬の匂いがこちらまで漂ってくる。先ほどからうろうろしているスタッフの前では、私の方が場違いな気分になってくる。お客がいないなりに、やることがあるのだろう。そもそも言葉が通じないのだから文句も言えない。

 並んだ食材からチーズとハム、パン、コーヒーを取る。店内に耳に馴染んだレーズが流れてきて思わず苦笑。

 一人分にしては多目の朝食を片付けていると、スタッフの一人が近づいて来た。

 何やらチェコ語で聞いてくる。

「あの、チェコ語わからないんで」

 ドイツ語もですが。と英語で言ってみる。

 すると手で丸いジェスチャー。

 もしかして卵?そういえばドイツ語でアイ。そうそうアイ。

 お腹は一杯だけど、せっかく聞いてくれたのでもらうことにする。1、2と指を立て来るので、1個でとお願いする。料理方法を聞かれているようだけど、こちらも説明のしようがない。結局スタッフも尋ねることを諦めた。

 自分で取ったものは残さないというモットーの元、どうにか他の食事を詰め込んだところへ卵がやって来る。

 スクランブルエッグだ!それも、牛乳でも入れているのかふんわりとした仕上がり。(もろ好み!)散らされたエシャロットがアクセントで、なかなかいける。

 でも、量が多い。これは卵1個分ではない。

 そういえば、私は人差し指を立てて1つと言ったけれど、こっちでは親指、人差し指、中指で順に1、2、3となるんだっけ……。

 出されたものは食べなければと意地になって完食。

 そんな話を部屋に戻って妹にしかけると、「ちょっと、食べ物の話はやめてよ!」と怒られてしまう。

 とても朝のお散歩、なんて行ける状況ではなさそう。人生初の二日酔いというから、記念すべき思い出にはなるのかもしれない、今後の話だけれど。

 私は一人ヘプの街へ出る。お土産に絵本が買いたかった。そう、チェコといえば絵本でしょう!

チェコの絵本

 近くの本屋に入ると、カウンターに座るおばさんに胡散臭そうに睨まれた。街ではほとんど見られないアジア人だから?挨拶程度のチェコ語を調べてくるんだった、と思ったところでもう遅い。

 時間もあまりないので薄くて持って帰れそうな本を購入。チェコ語で何か質問されるけれど、全くわからない。ありがとうを言いたいけれど、チェコ語のそれは舌を噛みそうな長さだと、先に出た客の言葉を思い返す。

 仕方なくダンケと笑顔を店員に向けて店を出る。

 ホテルに戻ると、妹はまだベッドの中にいた。電車の本数が限られているので、よくわからないままのチェックアウトの時間がどうであれ、妹の具合がどうであれ、部屋を出なければならない。

 ヘロヘロの妹を叱咤激励しつつ、駅へ向かう。行きは気がつかなかったけれど、旧市街地から駅までの坂道はかなりきつい。おまけに雨が降り出した。それでも必死に駅を目指し、何とか目的の電車に間に合った。

 ヘプの街との別れを惜しむ間もなかったなー。

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