妙顯寺
- tripampersand
- 2016年5月16日
- 読了時間: 2分
このお寺は裏千家、表千家の茶室や家元の住居、茶道具を扱うお店などが集まり、趣きのある界隈に位置しています。その辺りをぶらぶらしているだけでも、着物姿の上品な人々とすれ違い、ちょっとした異世界に迷い込んだ気分になります。

大門を潜ると真っ直ぐに参道が伸びていて、その先にあるのが本堂です。約27メートル四面で堂々とした佇まい。想像より遥かに立派です。
妙顕寺は鎌倉時代後期に創られた京都における日蓮宗最初の寺院で、本能寺の変の後、豊臣秀吉の命により、現在の場所に移転したということです。
京都を歩いていると、この「秀吉の命により」という言葉に随所で出くわします。秀吉が進めた都市計画、その規模の大きさと、それを天下統一後、実権を握った僅かな期間で成し遂げた事実には驚かされます。
そうして造られた街に、今の私たちが暮らしている。点でしかなかった歴史上の出来事が現在の生活とつながる瞬間は、私たちも連綿と続いていく物語の一部なのだと、壮大な想いを抱かせてくれます。
こうして寺社に参拝して、俄かでも、神や仏を前に敬虔な気持ちになっているせいもあるかもしれません・・・。
本堂には日蓮聖人、大覚大僧正、日朗上人や日像上人が煌びやかに祀られています。
ちょうどその正面にある大きな磬子(お堂の中にある鐘)を自由に打てるようになっていました(打ち方も図付きで説明されています)。
磬子も立派ですが、倍(磬子を打つ棒)も立派。片手では持てません。両手でどうにか持ち上げて、ひっそり打ったつもりが、ぼわーんと誰も居ない本堂中に響き渡りました。低くいつまでも続く響きは耳に心地よく、素敵な音色でした。

本堂と他の建物は味わい深く年月を重ねた渡り廊下で繋がっています。庭園として「四海唱導の庭」「光琳曲水の庭」「孟宗竹の坪庭」があって、それぞれ異なった趣を楽しむことができます。春は桜、秋は紅葉の名所とのことで、その頃にはどんな表情を見せるのか、想像してみたりして、思ったより長居をしましたが、その間、他の参拝者が来なかったために贅沢にも貸切りでした。
ここが街中にあるということを忘れさせてくれる、静かに、心落ち着けることのできるお寺でした。
拝観料は300円でした。

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