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ドイツへの旅 5日目① コルムベルク→アンスバッハ→コーブルク

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年5月18日
  • 読了時間: 4分

 当然ながら、朝食もかつて見たことがないほど豪華だった。

 ハムやチーズにこれほど種類があったのかと、美しく盛り付けられたそれらをうっとりと眺めてしまう。焼きたてのライ麦パンも堪能し、上機嫌でホテルを出発。

 バスを降りると列車の時間まで少しあったので、アンスバッハの街を歩いてみることにした。コルムベルクや途中に通過してきた町からみると規模が大きく、雰囲気も随分と異なっている。

 妹曰く、「フランスの香りがする」。

確かに、これまで見たドイツの街と違ってどこか軽やか。取り敢えず、妹を信じて「フランス風」の街だったと記憶に留めておく。

 この旅の大きな目的だった「古城に宿泊」は昨日、一昨日と達成された。

 というわけで、今日は安宿でもなんでも泊まれれば良い、と思っていたので宿を取っていなかった。そうなると、どこへ行ってもいい。

 事前にピックアップしていた候補地を検討した結果、一旦ニュルンベルクまで戻って北上し、コーブルクへ行ってみることになった。

 コーブルクの駅を出ると、思ったよりずっと大きな街が広がっていた。衝撃を受けたと言ってよいかもしれない。

ガイドブックに乗っていなかったので、すぐに一周できるくらいの街を想像していた。あまり調べてこなかったのも、そう高をくくっていたから。

とにかく、知らない町で困ったときの鉄則、インフォメーションセンターを目指すことにする。右も左もわからないので道を尋ねるものの、英語が思うように通じない。

 スーツケースを引きずりながら街をうろつくこと三十分。バスロータリーまでやってきたところで、バスを待っている女の子が目に入った。

「あの、インフォメーションセンター、探してるんだけど」

「私は知らないんだけど、ちょっと待ってね」 

 久しぶりに、英語が通じた!

 別の人に聞いてみてくれる。

「向こうにあるみたい。時間があるから一緒に行くわ」

 雰囲気からして大学生。彼女の方がきっとだいぶ年下なんだろうけれど、気分は同世代で話も弾む。

「ああ、ほら、あれ、何だっけ」

 時々、英語が出てこないわ、と苦笑いする彼女に、そうだよね、と相槌を打つ。

 彼女のおかげで無事にインフォメーションセンターに到着。

「あの、ユースホステルがあるって聞いたんですけど。空いてますか?」

 ドイツと言えばユースホステル発祥の地。優雅な旅を目指しているとはいえ、一回くらいは本場で泊まってみたい。懐の事情、というのもあるけれど。

「ああ、あそこは今、閉まっているわよ」

 そこそこ大きなホステルがあると事前にチェックはしていたけれど、クローズとは予想外。

「あ、じゃ、ホテルとかでいいです」

 パソコンを叩き出したスタッフの顔が曇る。

「信じられないわ!」

 街中の宿で空室があるのは一部屋だけ。年に一度のフリーマーケットが明日催されるせいじゃないかという彼女自身が一番驚いている。

「この、空いている部屋だけど、ちょっと、あなた達には高いと思うわ」

と、選択肢からは外している様子。他の何軒かに電話をかけてくれるけれど、良い返事はなかった。

 いや、もう、高くても何でもここまで来たのだから泊まります!

 提示された金額は二人で135ユーロ。一体、どれだけ貧乏そうに見えたんだ、私達。

 念のため電話で空き状況を確認してくれて、宿までの道順も詳しく教えてくれたので、直接宿まで向かう。

 呼び鈴を鳴らすと上品なおばあさんが姿を現した。

「あの、空き室があるって聞いて来たんですけど」

「あら、まあ、何かの間違いだわ。今日は満室よ。明日なら空いているんだけど」

 何でも半年前から予約している人もいるくらいで、とても飛び入りで泊まれる状況ではないという。

 ごめんなさいね、という彼女を疑いたくはないけれど、打ちひしがれた私達は疑心暗鬼に陥る。さっきインフォメーションのスタッフが別の宿に電話している中で、何人かと(人種を)聞かれたことを思い出す。

 答えた後で、だめだと告げられた。そういえば、街ではアジア人をほとんど見かけない。もしかしたら、日本人だから……。

 この街に宿はない。

 となれば違う街へ行くしかない。

 ネットカフェで調べることに決めたものの、それがどこにあるか検討もつかないので、急に重くなった気がするキャリーを引っ張りながら、インフォメーションセンターへ戻って、ネットが使える場所を聞く。泣きそうな気分になりながら、振り出しに戻る。

ネットカフェは駅にあった。

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