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ドイツへの旅 6日目④ バンベルク→フランクフルト

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年5月29日
  • 読了時間: 3分

駅から世界遺産に登録されている旧市街地までは距離があった。

途中、心引かれるお菓子屋さんを見かけるもぐっと我慢して足早に二十分。

旧市街地への入り口

橋を渡った先が旧市街地。

前方にはどこから集まってきたのか人、人、人。

この旅で一番の人口密度。

さすが世界遺産。

人が多すぎて、写真を撮るどころじゃない。

人込みを掻き分けるように坂道を上がっていくと、大聖堂が姿を現した。

圧倒的なスケールで、その尖塔が天に向かって伸びている。

200年の歳月を費やし、13世紀に完成したというその全容を写真に収めようと思ったけれど、到底、無理な話。

ふいに辺りに響き渡った鐘の音は建物に負けない荘厳なもので、その迫力に思わずたじろいでしまった私たち。

けれど、そこで立ち尽くしている場合ではなかった。

聖堂自体、十分に素晴らしいものなのなのだけれど、内部を飾る品々も凄い。

ドイツ中世美術の傑作と言われるバンベルクの騎士像や、ハインリッヒ2世の墓。

そんな芸術作品が右を見ても左を見ても上を見ても並んでいる。

バンベルクでのトータルの持ち時間が2時間ほど。

大聖堂の横にはバロック建築の新宮殿が建っていたのだけれど、「バンベルク市で最も大きい建物」というだけあって、一周するだけでもかなりの時間を取られそうだったので渋々諦める。

それでも足早に見て回ったせいか、食傷気味で街中へ戻ることになった。

人波を押しのけながら、「小ベニス」と呼ばれているレグニッツ河沿いの地域へ出ると、なぜだか観光客の姿は少なかった。

河辺に並ぶ家は一軒一軒違った表情を持っていながら見事に調和。

鮮やかな花々が窓辺を飾り、庭先では鴨が日向ぼっこ。

暫し長閑な雰囲気に癒される。

しかし、無情にも帰りの電車の時間が迫って来る。

行きは良い良い帰りは怖い。

気持ちは焦るし、疲れはピーク。

妹がやけに無口になったと思ったら、頭痛がすると言い出す。

カフェに入って休もうかと思うものの、手頃な店が見つからない。

結局、予定した電車は諦め、街中のベンチにとりあえず腰を下ろす。

こんなことなら旧市街地でお茶をしとけばよかった。と、またいつもの「後悔先に立たず」。

どうものんびりしきれない性分の私たちは、少し休んだ後、まだ余裕のあった時間をお土産購入に費やし、結局、お茶はしないままに、一本遅れの電車に乗った。

バンベルクからフランクフルトへはヴュルツブルク経由で。

幸い座ることができ、有難い休息時間となる。

このルートは初めてなので、通り過ぎて行く景色も新鮮だった。

窓の外に広がっているのはブドウ畑。よくぞここまで、というくらい急な斜面にもびっしりとブドウの木が植えられている。

ヴュルツブルクを中心とするフランケン地方はワインで有名だと聞くけれど、本当だったんだぁ、と関心すると共に、空港でワインを買おうと決める。チェコで二日酔い事件が発生して以来、アルコールはNGな雰囲気で、ドイツに来たというのに、ワインもビールも飲んでいなかった。

うとうとしながら電車に揺られていると、途中で親子連れが乗り込んできた。お転婆な妹にお兄ちゃんが何かと世話を焼いている。

そして母親はというと。

はしゃいだ子ども達について謝ったことをきっかけに、後ろの席の高校生くらいの若者とおしゃべりを始めた。

背中合わせに座っていた彼らは、座席越しに会話していたのだが、ほどなくお母さんは席を移動。

その若者と本格的に語りモードに突入。

といっても、お母さんはほとんど相槌を打っているだけ。

若者は酔っ払っているのか、よほど腹に据えかねたことがあったのか、1時間以上しゃべりまくる。

それも舞台俳優のような激しさで。

子ども達は完全に放置。

お母さんは電車を降りるまで、若者から開放されることはなかった。

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