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ドイツへの旅 6日目→7日目 フランクフルト

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年5月31日
  • 読了時間: 3分

十分後。私達は目的の宿に到着した。

ホテルのカウンターを取り仕切るのは一人で、合間に併設のカフェの給仕もしたりするものだから、なかなかチェックインができない。

やっと順番が回ってきた。

担当のお兄さんはなかなか感じが良い。でもこちらは、笑顔を浮かべるのも億劫なほど疲れ切っている。

駅からの道順を確認すると、地下鉄の別のラインに乗っていたことが判明。

全て誤っていたわけだ、初めから。

ようやく鍵をもらって部屋へ入る。

そこは四人部屋。大きなダブルベッド一つに二段ベッドが一つ。スーツケースが置いてあり、ダブルベッドは既に予約済み。

「どうする?」

どうする、とは食事のこと。時刻はもう九時でお腹はぺこぺこ。

明日は朝出発なので、あまり今日遅くなるのもな。でも、ドイツ最後の夜だし。。。

と思考がまとまらない。

「はっきりしてよ!」

思いつくまま、うーん、でも、やっぱり……とやっているうちに妹と険悪な雰囲気になる。

結局、教えてもらった地下鉄の別のラインに乗り(駅は驚くほど近かった)中央駅へ。

豪華にドイツ料理フルコース!といきたかったけど、疲れて果てていて胃が受け付けそうもない。せめてドイツパンくらいは食べよう、と思っていたのに、店の多くは閉まっているか、商品がほとんどない。

わざわざここまで来たことを無言で後悔しながら、駅の中で行ったり来たり。

「もう、ここでいいやん」

たどり着いたのは駅の中にあった魚料理のファストフード店。好みの魚をパンに挟んでくれるようだ。

恐ろしく手際が悪く、機嫌も悪いお姉さんが取り仕切る店で、やけに待たされながら、見た目で選んだ魚を指差す。

すると、カウンター越しにスタッフが何か言って来る。

工事中の駅構内はすさまじい騒音で、全く聞こえない。もっとも聞こえても理解できないドイツ語。だが、妹が身振り手振りを何とか汲み取った。

「あ、もう一個選べるらしい」

閉店間際だったことで、1つ買えばもう1つもらえるというラッキーな状況。

たちまち私達の機嫌も直る。

受け取って店の前で頬張ると、予想以上に美味しかった。さっぱりとした魚のマリネがフランスパンとよく合う。

ドイツ最後の夕食のサンドウィッチ(マス?)
ドイツ最後の夕食のサンドウィッチ(サーモン)

おいしかったね、と笑顔を取り戻し、部屋へ帰ると先客がいた。

「あ、Hello」

まだ若い、ドイツ留学に来た台湾人だった。1人は日本にも住んでいたことがあるといい、もう1人もJ-POP好きだということで、パソコンで邦楽を流していた。今日、着いたばかりだという彼らと、今日が最後の夜となる私達。勝手に不思議な縁を感じる。

先にシャワーを浴びた彼らは、私達の準備が終わるまでさり気なく起きて待っていてくれた。

私達を気遣ってくれる思いが伝わってきて、それが申し訳なくもあり、嬉しくもあった。体はへとへとだったけれど、彼らの優しさのおかげで棘棘した気分はすっかり収まって、穏やかな気持ちで眠りに就けた。

男の子同士でダブルベッドもありなんだな、なんて考えつつ。。。

バーの真上に位置していたため、安眠とはいかなかった一夜を過ごし(夜中に怒鳴り合いが聞こえて、ベッドの上でハラハラしていた)、予定より早めに起床。

まだ熟睡中の隣の二人を起こさないようにと思うのだけれど、設備は新しいくせにバスルームのドアは必要以上に軋る。身支度を終える頃にはすっかり目を覚まさせてしまった。私達が出るまで寝たふりをしてくれて、別れる際には起き上がって手を振ってくれた彼らのドイツ留学が上手く行くことを心から願って、宿を後にする。 

空港へ向かうため列車に乗り込むと、切ない気持ちになった。

私達の旅はこれで終わる。

まだ旅を続ける人々、これから旅に出る人々に妬ましい視線を送ってしまうのもいつものこと。

次はどこに行こうかと、心が彷徨い出すまでは、この旅の余韻に浸ることにしよう。

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