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オーストリア・スロヴァキア・ハンガリーへの旅 4日目① ウィーン→メルク

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年6月12日
  • 読了時間: 4分

お世話になったアパートを引き払い、ヴァッハウ渓谷へ出発の日。スーツケースは駅に預け、1泊分の荷物を持って、メルク行きの電車に乗り込む。

近代的できれいな車内。ドイツ語圏の人々はやはりきれい好き?

駅のパン屋さん

安心して、構内のベーカリーで買っておいた朝食用のパンを取り出す。漂う小麦の香ばしい香り。美味しいパンとスタートを切れたなら、素敵な一日を過ごせること間違いなし。

走り出して程なく、緑が視界を覆うようになった。時々、工場から煙が上っている地域を通ることもあるけれど、ほとんどが一瞬で通過してしまう小さな町で、森や丘陵を眺めているといつの間にか睡魔に襲われる。

ドイツ語の駅名が短くアナウンスされるだけなので、乗り過ごしてはいないかと不安になり始めたころ、メルクに到着した。

規模は小さいけれど、それまでの駅と違って降りる人が多い。観光に来ているのは私達だけではないと気がつく。

列車を降りた人々の流れに従って坂を下っていく。もっとも、誰もいなかったとしても、正面に町のシンボル、メルク修道院が聳え建っているので、迷子になることはない。

メルクの中心部

町といってもメインの通りは一本しかなく、1時間もあれば隈なく歩き回れる規模。賑わいがあるのは、ほんの何十メートルで、石畳の街並みは映画のセットのよう。町の歴史は古いのに、どこか作り物めいて見えるのは観光地の性として仕方のないところかも。

修道院は高台に建っているので、今度は階段を上っていかなければならない。

メルクの修道院

遠目にも修道院のイメージとはかけ離れた鮮やかな黄色が目を引いたが、近くで見ると、尚更その華やかさに圧倒される。

曇天が似合う、どこか陰湿でもの悲しげな佇まい。個人的にはそれが修道院のイメージ。これほどあっけらかんと青空の下に建っていると、調子が狂う。

内装も外観に劣らずの豪奢な造り。ここまでくると、「神秘性」を期待する方が間違っている気がしてくる。

それでも、今もずらりと古書が並ぶ図書館や、きらびやか過ぎて落ち着かない気分になるほど金装飾が施された教会内部は、流石というしかない。フランスへ嫁ぐ途中、マリーアントワネットが立ち寄ったという説明にも納得。

修道院内の教会

修道院のテラスからはメルクの町と、これから下ることになるドナウ川と、その周囲に広がる森を一望でき、気持ちの良い眺めだった。

修道院を出て町まで戻ってくるとちょうど昼過ぎで、中心部を少し外れた場所では昼休憩のためどこも店を閉めていた。観光地ながら、どうやら生活サイクルはマイペースなようで、やっと少し、この町の素顔を見られたように思った。

ドナウ川下りの船

そして、いよいよ、旅の目的の一つでもあるドナウ川下りへと向かう。町から川沿いに歩いて20分ほどのところに船着場がある。

川面を渡る風に吹かれながらの川下り、も魅力的ではあったけれど、如何にせん天気が良すぎたので、船内のカフェテリアの先頭に陣取って、のんびりゆったり景色を楽しむことに決める。

素早い適切な判断のおかげで(私たちには珍しく)、特等席にて快適な旅を満喫。ここでは今でも川が「交通手段」であることを示すように、時折貨物の運搬船とすれ違う。このドナウ川がヨーロッパの発展を支えてきたんだという実感が沸き起こってくる。

食堂スペースの一角を陣取っていたので、さすがに、何も注文しないのは気が引ける。ということで、BITTER LEMMONを注文。レモンの飲み物ということは想像できたけれど、運ばれてきたのはボトル入りの飲料。これなら自販機で買えばよかったとがっかりしたところから一転。飲んでみると・・・何これ、おいしい!暑さで少々へばっていた体に程よい甘さと酸味が染み渡る。

母もボトルに向かってシャッターを切るほど気に入った様子だった。(その後、日本でも発売され、我が家は大興奮だった。今は・・・そういえば見かけない。)

岸辺を流れ行く景色の中に時折、顔をのぞかせるのが古城。それにまつわる逸話が船内放送される有難いサービス。ただ、日本語も含め数ヶ国語で説明されるので、日本語パートは通り過ぎてから流れてくることもある。説明だけ聞いてもう見られないとなると、余計に気になる!

古城というと、ロマンティックな響きがあるけれど、中には捕虜を閉じ込めていた城もあった。断崖絶壁に立つそこからの脱出はまず不可能で、運よく脱出できたとしても、周囲に広がるのはバラ園で、飢えて死ぬ運命が待ち構えていたという。バラは食料とならず、逃げようとする者に牙を剥くだけ。

バラは鑑賞のためだけのものかと思っていたけれど、実用性もあったとは。

とにかく棘には気をつけよう。

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