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オーストリア・スロヴァキア・ハンガリーへの旅 6日目② ブラチスラヴァ→ブダペスト

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年7月6日
  • 読了時間: 3分

喚き立ててみるものの、英語はほとんど通じていない様子。

今の私たちにタクシー以外の選択肢はない。後ろの車にももう頼めない。結局、彼の言い分を飲むしかなかった。

「それ以上は絶対払わないから」

折れたものの、乗り込もうとして後悔が押し寄せる。

後部座席は小柄な日本人女性3人でもぎゅうぎゅう。

私が座ろうとした助手席は雑誌や食べかすや老眼鏡などが山積み。ドライバーのおじさんが、ちょっと待ってね、と慌ててどけてくれたけれど、そこはパンかすや砂など埃まみれ。ここに座るのかと思うと鳥肌が立ったけれど、仕方ない。Gパンを穿いていて良かったと服の選択に感謝しながら乗り込む。

私たちが乗り込んだ後は急に愛想がよくなったおじさん。こっちはスロヴァキア語もできないし、狭くていつ掃除したかもわからない、骨董的なぼろ車に押し込められて、おまけに電車の時間も迫っている。機嫌よくなんてできるわけもないというのに、ひたすら話し掛けてくる。

途中から、その根性の前にカリカリしている自分が馬鹿らしくなってきて、何を言っているか全くわからなかったけれど、適当に相槌を打ってみたりする。理解できたのは、彼がロシア語とフランス語はちょっとできる、ということ。英語と同程度かもしれないけれど。

どうにか電車発車時刻前に駅に到着。

道中、悪い人ではなさそうということがわかったので、ユーロは不要だったし、本当はピッタリの金額を払いたいところだったけれど、少し多めに渡す。

でもまだ安心するのは早かった。

駅のチケットブースには長い列。開いている窓口が少ない。しかも遅遅として列は進まない。やきもきしながら待っていると後ろの女性が話しかけてきた。急いでいるので、順番を代わってほしいという。

いえいえ、こちらだって、前の人と代わってほしいくらい急いでいるんです!

ハラハラしながら順番になり、切符を購入。もう駄目かと思ったけれど幸いなことに電車の到着が遅れているそうで、大丈夫だった。

駅には改札がないので、母は先にホームに上がっていた。

「あれ、スーツケースよく運べたね」

足を痛めている母には結構な重労働だったはず。

「それがね、親切な男の子がホームまで運んでくれたのよ」

彼は別のホームの電車に乗るにも関わらず、母の乗り場まで運んでくれたのだと、とっても嬉しそう。イケメン好きの母が満足した彼に私も会いたかった。

電車がやってきたのは、それから10分以上経ってからだった。

ブタペストまでは2時間半。オーストリアでは森か畑、時々街、という風景を目にしたが、今、窓の向こうには平地でも人の手の付けられていない「何もない」土地が広がっていたりする。草木が生い茂る季節でもないので、どこか色に乏しくて、寂しげな雰囲気だ。

うつらうつらしていると、ちょっと厳つい二人組みが前からやってきた。にこりともせずこちらに近づいてくる。

「パスポート」

そう要求されて気がついた。私たちはいつの間にかハンガリーに入っていた。

スロヴァキアもハンガリーもシェンゲン協定加盟国でパスポートコントロールはないけれど、パトロールは行われているようだ。去っていく二人組みのTシャツ(そう、なぜか黒いTシャツ。とってもカジュアル。でもマッチョな二人が着ていると、それなりに見えるから不思議。)の背にはハンガリー警察の文字。

そのうち家が増え始め、線路の両側にぎっしりと立ち並ぶようになり、高い建物が姿を現し、列車はスピードを落とし出した。とうとう、最後の訪問地、ブダペストへやって来た。

ブダペストの駅舎

ブダペストの駅舎

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