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オランダへの旅5日目③キンデルダイクを歩く、歩く、歩く・・・

  • 執筆者の写真: tripampersand
    tripampersand
  • 2016年10月1日
  • 読了時間: 4分

キンデルダイクの風車群、すべて見て回れるのか?

キンデルダイクの風車群

 この季節、背丈以上に草が伸びているところもあって、視界は悪い。人がまばらになった辺りから道も狭くなった。ベンチももうない。風車がないと、鬱蒼と茂る草を延々眺めることになる。

 気を紛らわせてくれるのが、草の向こう側を流れる運河から聞こえるカヤックを楽しむ人々の声。共に進んでいるんだと、勝手に励まされる。

 そうして歩いていると、前方から自転車グループがやってきた。あ、あの素敵なおば様方。

「頑張ってるわね!」

 すれ違いざま、にこっと声をかけてくれた。フェリーにはほかにアジア人が乗っていなかったし、向こうも覚えてくれていた様子。あ、ちょっと元気出たかも!

オランダの風車

 その後も歩き続ける。少し先に見えていたはずの風車。歩くにつれて、「だいぶ」先だったことに気がつく。でも、今更引き返せない!と意地になって歩く。そしてとうとう、風車の全容が視界に入った。

 更にその先に見えるのは新たな風車…。

「どうする?」

 もはや歩いている人は誰もいない。一瞬、心が揺れる。いやでも、折角ここまで頑張ったんだ。あと一踏ん張りじゃないか!

 持っていた水で喉の渇きをいやし、先に進むことにする。

 なんで、フェリーを降りたときに自転車をレンタルしなかったのか。何度目かの後悔に苛まされるなか、分岐点に着いた。

「ねえ、看板がある。19はあっちやって・・・」

 右手に蛇行した運河の先に見えている風車。それとは別に、左側の草むらの向こうに続いている道を進むと、19個目の風車があるらしい・・・。ここからは、ただ草原が広がっているようにしかみえない。

「そろそろ帰らな、ヤバいんちゃう?」

 2時間おきにしかないフェリー。次に出るのを逃したら、街に戻るのが遅くなってしまう。

 もうこの時点で、19基すべて見るという夢は絶たれた。でもせめて、今見えているやつの近くまで行きたい!

 強引に歩き出した私。諦めたように妹がついて来る。いつもこれで失敗するのに、どうしても、この頑固な性格を直せない。

 ただ、本当に、時間が限られているので幾分スピードアップ。近づくと、他のより新しそうな風車だった。

オランダの風車

 写真に収めて取り敢えず満足。その風車の脇で、また道が二手に分かれていた。一方の道はこのまま真っすぐ。もう一方は右手の木々の中に消えている。つまり、方角的にはやって来た方だ。

「ねえ、この道行ったら、帰れるんちゃう?」

 妹の気持ちもわかる。行きと同じ道をこれから戻ると考えるだけで、気力が萎えそうになる。でも、来る道中、並行に走っている道はあっただろうか?所々、横にそれる小道は見たけれど、真っすぐ続く道は他になかったように思えた。もし、この道が途中で行き止まりでもしたら、それこそ悲劇。妹の勘だけを頼りに進むにはリスクが高すぎる。そこは断固拒否して、大人しく来た道を戻ることになった。

 既に足は棒のよう。でものんびりしている暇はないので、ノンストップで歩き続ける。そうしてやっと、風車の一群が見えてきた。

 そう、欲張らずに、この長閑な風景を眺めていれば良かった。まさかここからその倍くらい、ほぼ何もない道を歩く羽目になるとは。。。

キンデルダイクの風景

 こちらに向かって歩いて来る楽しそうな人々。もし聞かれたら絶対にこう答えた。「もう、この辺で止めといた方が良いですよ・・・」

 ここまで来ると、途端に家族連れやカップルであふれだす。いくつかの風車は中に入ることができて、ワイワイそちらに向かう人も多い。私たちにはもう気力が残されていなかった。お昼を食べた短い時間を除いて、キンデルダイクに着いてから3時間弱歩きっぱなしだった。それでも、フェリーが来るまで僅かに時間があったので、乗り場前の土産物屋に立ち寄って、またウロウロしてしまう私たち。

 乗り場に行くと、あのトイレを借りていた(たぶん)サラサラヘアーの男の子がやって来た。どうもおじいちゃんおばあちゃんと孫たちの様子。小さい子は3歳くらい。それから9歳くらいまでの子どもが4人。一番上の女の子が必死に小さい子の面倒を見ている様子が可愛いらしい。

 やって来たフェリーの乗務員は行きと同じだった。乗船券は乗った後、回ってくる乗務員から購入する仕組み。

 この乗務員さん。行きも思ったけれど、とってもフレンドリー。

「写真を撮ってあげるよ!中と外どっちがいい?」

 突然のことで、返答に悩んでいると、

「オッケー、今、中で撮るから。また降りる前に外で撮ってあげるよ!」

 そうして、パシャパシャと写真撮影。確かに有り難いけれど、疲れ果てた後、フェリーに座ってやれやれと気が緩んだ顔、というあまり記念には残したくないような表情で写ってしまった。。。

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